ラクトコーダ本体
機器の構成
ラクトコーダは次のもので構成されます。
1 | ラクトコーダ® 携帯型電子ミルクメータ(バッテリー内蔵) 50mlサンプリングボトル用のサンプリング機能 ボトルID認識装置内蔵 バーコードの読取またはトランスポンダ データの記録とデータの転送が可能 |
2 | 充電装置 (写真は2台用) |
3 | データパック |
4 | データパック リード/ライトステーション(USB) |
E | 電装モジュール |
A | 専用サンプルボトル |
H | 測定モジュール |
ラクトコーダは電装モジュールと測定モジュールの2つで構成されています。乳の計測は測定モジュールでおこなわれ、計測した情報の記録と解析は、電装モジュールの役目です。電装モジュールには操作パネルが装備されています。
測定の原理
ラクトコーダは国際特許を取得した、今までにはない斬新な計測方法による携帯型の乳量/流速測定装置です。本体に流れ込んだ牛乳は遠心分離カップにより空気と液体に分離されます。それでもまだ、下部に流れていく牛乳にはまだ空気が含まれています。この空気の含有率は30%から極端な場合で100%まで達し、プラントによって大きな偏差が認められます。
フラスコを通過した乳は、測定チェンバーに流れ込みます。測定チェンバーには縦に切込みの入ったスロットがあり、スロットを通り過ぎる牛乳の水位レベルが測定されます。この水位レベルは1つのプローブと1.6mm間隔で配置された60個のプローブにより極めて正確に計測されます。各プローブにおいて電気伝導度が計測され、その値を分析することで牛乳中に含まれている泡を含む牛乳の層がどのレベルにあるかを感知し、牛乳中の空気の含有量を計測することができます。空気の含有量の計測により、搾乳プラントの状態を調べることが可能です。牛乳中の空気の含有量を検知することができる技術により、単に通過するだけの牛乳の量を正確に計測することができます。
従来からあるミルクメータのように、牛乳の流れを阻害するような機構となる、いわゆるかさ重量測定装置は装備されていません。乳の流れを阻害しない測定方法により、真空ロスを最小限に抑えることができます。つまり、普段とほぼ変わらない条件で乳検を実施することができるわけです。 ラクトコーダで計測した、電気伝導度の情報を解析により、通過する牛乳の密度を調べることができます。これらの情報は0.7秒ごとに計測されます。時計が内蔵され、搾乳開始時刻や搾乳時間を記録することができます。よって、ラクトコーダは、搾乳開始時刻、牛乳の流速(kg/分)や電気伝導度、乳の温度をリアルタイムに計測することができる装置です。
サンプリング
ラクトコーダには、サンプリング用のバルブと50ml用のボトルホルダーが標準装備されています。また、サンプリングボトルのIDを読み取る、バーコードリーダー、またはトランスポンダリーダーが装備されています。読み取ったボトルIDは計測した個体番号に自動的に登録されます。
サンプリングバルブの調整は、次の二つの要素で制御されます。
- 個体ごとの期待乳量
- その時点の乳の流速
期待乳量
たとえ牛の乳量に大きな個体差があったとしても、サンプリングの量は適正である必要があります。その量は20ml~48mlで適正であると、ICARのガイドラインによる規定があります。期待乳量に基づいたサンプルの採取量は、ボトルの約2/3の量になるように調整されています。期待乳量との偏差が認められる場合においては、当然サンプル量も変動します。入力可能な期待乳量の範囲は、牛の場合で2kg~99kg。山羊の場合は、0.8kg~9.9kgです。
期待乳量は、1日の乳量で登録します。搾乳が朝晩の2回である場合は、50%の量が1回の搾乳に適用されます。必要であれば、朝晩の割合を変更することができます。
通常の場合、期待乳量は操作データにあらかじめ登録しておきます。しかしながら、必要であれば搾乳前、もしくは搾乳中に登録、変更することも可能です。 サンプリングの量を変更する場合は、サービスメニューの“サンプル サイシュ リョウ”の設定で調整します。(7.3章参照)
例:期待乳量とサンプリング量
個体 A | 個体 B | 個体 C | |
期待乳量 | 16 kg | 28 kg | 40 kg |
搾乳ごとの基準乳量 (50 %) | 8 kg | 14 kg | 20 kg |
基準乳量に割り当てられた採取量 | 33 ml | 33 ml | 33 ml |
乳量に対する採取量の割合 | 0.41 % | 0.24 % | 0.17 % |
許容採取量 | 20 ml ~ 48 ml | 20 ml ~ 48 ml | 20 ml ~ 48 ml |
許容採取量に基づく許容乳量 | 最小 4.8 kg 最大 11.6 kg | 最小 8.4 kg 最大 20.3 kg | 最小 12.0 kg 最大 29.0 kg |
充電器
充電器は最大4台までのラクトコーダを同時に充電することができます。入力電源は、AC 100VまたはAC200Vです。
データパック
データパックはラクトコーダに記録されたデータをPCに転送したり、それとは逆にPCで作成した情報をラクトコーダで読み取ったりするためのものです。以下の情報を処理します。
- 操作データ
- 測定データ
- LCのプログラム
- LCプログラムのパラメータ
これらの情報の読取、書込むための通信方式は赤外線通信が使用されています。赤外線通信には次のような長所があります。
- バッテリーが不要なため、気密性を保つことができる。
- 耐久性に優れている(100,000回以上)
- 汚れやほこりに対しての影響を受けにくい
データパックには次の2つのタイプがあります。
- 128kB 時計機能内蔵
- 512kB 時計機能なし
時計機能が内蔵されているタイプは、裏面に時計のシンボルが記載されています。時計機能は操作データ(グンデータ)の記録に必要です。このタイプのデータパックには時計のための電池が内蔵されています。電池の交換は不能で、寿命は約5年間です。
データパック リード/ライトステーション
データパック リード/ライトステーションは、データパックの記録情報をPCと接続して読み書きするための装置です。接続はUSBポートまたはシリアルポート(RS232)でおこないます。USBポートによる接続を行う場合、事前にドライバをインストールする必要があります。インストールの方法は、別紙の「USBドライバインストールガイド」を参照してください。
PCソフトウェア
PCソフトウェアはWindowsで動作します。ソフトウェアの役割は以下の通りです。
- データ転送 PC ⇔ データパック
- 測定データの蓄積
- 測定したデータの分析
- 測定したデータの編集
- 測定したデータの集計
- 測定したデータのグラフ表示
ソフトウェアの詳細については、第9章を参照してください。
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