ラクトコーダについて

ラクトコーダのコンセプト

乳検による搾乳手順の指導と搾乳システムの評価 (搾乳が正常であるかを視覚的に評価)

ラクトコーダの利用により、今まで計測することができなかった様々な搾乳のデータを容易に取得することが可能になります。乳房炎コントロールには 、人の搾乳のやり方、ミルキングシステム、乳牛とその環境が関連しています。しかも、乳質を悪化させる要因には人の責任が大部分を占めています。 正しい搾乳手順を理解して実施してもらうことが重要です。しかしながら、適切な搾乳のやり方をしても、ミルカーに欠陥がある場合は、乳質の悪化に つながるといえます。ラクトコーダによる乳検実施により、マッサージ不足、過搾乳、牛を興奮させたことによるアドレナリン放出によるストレスなど、 人間による搾乳のエラーや、エア漏れ、真空発生機の排気量不足などの搾乳システムの欠陥を酪農家に指導・伝達することが可能になります。これが 、乳質の向上と酪農家の経営改善につながることはいうまでもありません。

泌乳カーブ

これまでの泌乳カーブは特別な装置を利用しての研究機関による調査によってのみ見ることができました。そして、多くの指導者がうんちくを傾けるため の材料として利用されてきました。しかしながら、実際には通常ある酪農家の牛の泌乳データではないため、説得力に欠ける材料であったと言わざるを 得ません。ラクトコーダでは実際に自分で搾った自分の牛の泌乳カーブを酪農家に見て頂くことができます。泌乳カーブは個体の泌乳状態を知るだけで はなく、搾乳の良し悪しを視覚的に判断するための情報にもなります。

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個々の牛の搾乳性を知ることにより、搾乳者は個々の牛の
泌乳カーブを頭の中でイメージすることができます。

不適切な搾乳をモニタリングする

搾乳中における人為的なミスの例をあげると、マッサージ不足(泌乳初期段階において流速が滞る現象。極端な場合においては流速が低下するバイモダ リティBIMOで認識できる)、過搾乳(流速が200g/分以下になっている状態)または不十分なマシンストリッピングやあまりにも早すぎる搾乳の停止など が考えられます。

一方で、一定のリズム(約15秒ごと)で流速に振動のような変動が見られる場合は、生理上に極めて自然な状態であり、牛はリラックスしている状態で あることを示しています。

搾乳システムの付加的な機能として、自動マッサージ機能、自動離脱装置、自動ストリッピングなどの装置が装備されている場合は、それらの機能が適 確に作用しているかどうかを泌乳カーブの測定結果で確認することができます。

搾乳中におてるライナーからのエアの侵入を、泌乳グラフから判断することができます。微小ではあるが定期的なリズムでエアの侵入が確認できる場合 は、ライナーの劣化が考えられます。大きなライナースリップが頻繁に繰り返される場合は、ライナーの選定不良や乳頭を濡らしている場合が考えられ ます。

牛が蹴り落とすケースが多い場合、大きな真空変動や真空圧が高いことが原因となるケースがほとんどです。これらの現象はドロップレッツ現象を 引き起こし、他の乳区への乳房炎感染を高めているという認識が必要です。

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ライナースリップによりドロップレッツが発生している可能性があります。

乳牛の搾乳性を知る

ラクトコーダでは最近重要視されている搾乳性を泌乳グラフで容易に知ることができます。搾乳性は搾乳作業能率の向上を考える上だけではなく、遺伝 的能力の改良を推進する上でも重要なファクターであると考えます。搾乳性を評価する上で比較要素となる項目は、平均搾乳速度、最大搾乳速度、乳区の均一度、停滞期の流速安定、すみやかな速度上昇、すみやかな下降、電気伝導度などがあげられます。ラクトコーダにより、搾乳性を評価することが できるデータを経済的に獲得できます。

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搾乳性は個体が持っている搾乳の個性です。
(同じ牛の9月から翌年1月までのグラフを重ねて表示)

電気伝導度

乳房の健康状態をモニタリングする付加的な情報として、ラクトコーダでは流速のグラフと同時に、体細胞数の指針となる電気伝導度のグラフを作成することが可能です。乳房炎になると、牛乳中の塩化ナトリウムが増加し、電気伝導度が上昇する特徴があります。この特徴を利用して潜在性乳房炎を発 見することができるわけです。
電気電度は搾乳中に変動します。これは、感染している乳区を見極めるためのヒントになります。例えば、泌乳の後半に高い電気伝導度の値を示す場合 は、最後に搾り残った乳区での感染の確率が高まります。泌乳の中盤で一時的に高い電気伝導度が認められる場合は、終了間際であった乳区に問題があります。このように、泌乳グラフと電気伝導度のグラフを比較することにより感染している乳区の見極めも可能になるわけです。
泌乳初期にのみ高い電気伝導度を示す場合は、不十分な前搾り捨て乳が考えられます。この場合、乳質を悪化させる要因は乳牛の健康状態ではなく、搾 乳者の搾り方に問題があるという指摘につながります。

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電気伝導度が高い例(縦軸右側の7mS/cm以上が乳質評価の基準ライン)

空気の含有率(泡の量:旧型ラクトコーダのみ)

乳に含まれる空気の量、つまりは泡になっている部分の割合を計測することが可能です。例えば一部の搾乳ユニットのみ大きな空気の含有率を示す場合 は、そのユニットのどこかでエア漏れを引き起こしている可能性が考えられます。全ての搾乳ユニットで大きな空気の含有率が認められる場合は、真空 発生機の排気量不足が考えられます。
牛乳中の泡の量は、乳牛の乳房の健康状態のバロメータとして見ることもできます。健康ではない乳牛の乳は、泡の量が少ないといわれています。

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泡の量が異常に高い例(エア漏れ)前搾り捨て乳の重要性と過搾乳についての指導

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