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測定データ事例 <人為的なエラー例>

人為的なエラー例

バイモダリティ

泌乳カーブは流速上昇期、流速維持期、流速下降期に分けられます。 バイモダリティとは泌乳開始から間もない、流速上昇期に見られる一時的な流速下降現象です。 乳頭の清拭などの搾乳の前処理は、単に汚れを取るだけではなく、マッサージ効果により乳頭を刺激し乳汁流出反応を促すために必要な行為です。 この刺激が不十分な場合、またはマッサージから搾乳開始のタイミングが不適切な場合にこのバイモダリティ現象が発生します。 刺激開始からティートカップ装着までのタイミングは泌乳期間により異なり、1分から2分とされています。

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バイモダリティが発生したグラフ例

過搾乳

乳がまったく流れていない状態では、ティートカップ内に高い真空圧が作用するため乳頭口を傷つけてしまいます。 乳頭口は細菌の侵入を最初に防ぐ部分です。乳頭口がダメージを受けると細菌が入る危険性が高まります。

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過搾乳の例

ライナースリップ

ライナースリップが発生すると、空気がミルククロー内に入り、陰圧のバランスが逆転します。 ミルククロー内よりもライナーの乳頭直下(乳頭槽)の陰圧が高くなり、乳がミルククローからライナー側へと吸い上げられます。 これが逆流現象(ドロップレッツ)です。この逆流によって乳と一緒に乳房炎原因菌が乳頭槽に吸い上げられ更なる感染が引き起こされます。 また、一旦ライナースリップが起こるとそれ以降の射乳のリズムが大きくくずれてしまうことがグラフからも分かります。

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ライナースリップの例

ストレス

牛にとっての最大のストレスとは、恐怖感です。 突発的な大きな音や見知らぬ人との接触、環境の変化による興奮などもストレスの要因です。 ウシがこのような状態のとき、アドレナリンという神経伝達物質が放出され、 血管が収縮してオキシトシンを含んだ血液の筋上皮細胞(乳房内の筋肉)への血流量が低下し、 結果的にオキシトシンによる乳汁排出反射が抑制されてしまいます。 また、脳(下垂体後葉)からのオキシトシンの分泌自体も抑制されます。

Graph10
ストレスの例(グラフ赤)翌日の搾乳は正常(グラフ青)

手動の分房別離脱

渋い分房がある場合など、搾乳が終了した分房から一本づつティートカップを離脱する方がいらっしゃいます。 理にかなった作業で、より丁寧な搾乳かのように思えます。 しかしながら、この作業によりティートカップ離脱時に空気流入が生じることが問題となります。 ライナースリップと同様に、真空度の変動が生じ乳汁の逆流や激突による新たな感染が起こる可能性があります。

Graph11
分房別離脱により逆流現象が懸念される例

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